ドイツ戦車兵セット


発売時期 発売時価格
1968/07 ¥80



99年の最初を飾るのはやはりこのキットになるでしょう、1/35ミリタリーミニチュアシリーズの輝くキットナンバー1番「ドイツ戦車兵セット」です。

パンサータンクから始まったタミヤの1/35戦車シリーズは、No.3のロンメルタンクで早くも戦車兵フィギュアが付きますが、その後の製品を見ても、所謂米国キットのデッドコピーの感は拭えず、まさにオマケといった感じでした。

そんな中、本格的なスケールモデルとして登場したフィギュアがこの「ドイツ戦車兵セット」なのです。タミヤにとっても冒険でしたがこの3体セットが売れました。斬新なホワイトパッケージに精密なボックスアート、わずか¥80という値段も味方に付けました。モーターで動かないミリタリープラスチックモデルの存在価値が産声を上げた瞬間です。

発売予告が載ったタミヤニュースVol.11を見てみると、ファンからの戦車兵や歩兵の人形発売の希望が多く、その中でももっとも人気のあるドイツ戦車兵の3点セットを出す運びとなった事が書かれています。まず1/8のモデルが作られ、プロポーションの検討や細部チェックを経て立体彫刻機によって縮小されたとのくだりには大人のホビーの香りを感じずにはいられません。

今では当たり前の事も当時は初めての連続でした。塗装の概念を強烈に与えたのもこのキットが初めてです。箱の裏にびっしりと書き込まれたマークやエリ章の解説を読んだ時、これが「スケールモデル」という物なんだという意を強くした物です。面相筆の存在さえよく分かっていなかった子供にとって、1/35フィギュアの肩章の縁取りをピンクで塗るという感覚は、まさにお米に文字を書くといったところでしょう。

発売当時はミリタリーミニチュアと書いてはありますがシリーズとは銘打っていません。半年後のタミヤニュースVol.14にドイツ歩兵セットの発売告知と、今後の予定としてシュビムワーゲンと6ポンド砲の実車写真が載ってようやくシリーズとしてスタートを切るのです。その後70年代前半のジオラマブームを経て、200番も軽く超えて昨年30周年を迎えたのは記憶に新しいところです。

このキット寿命は意外に短く、73年3月にキットNo.19のドイツ戦車兵4体セット発売と同時に姿を消します。それまでのパンサーの2体、ロンメルの1体に加えて3号戦車の1体が入り、さらにドラム缶2個付で¥100ですからリーズナブルな更新でした。つまりこのキットは¥80のまま一度も値上げする事無く、そのトップバッターとしての役目を終えたのですが、例によって末端では色々あった様で複数のバージョンが当研究室でも確認されております。

初版はキットNo.の刻印が無い物
2版目はMM101・80の記述
3版目(?)はMM101・100(但し印刷ではなくゴム印)
4版目(??)は青シールの¥150版

新年から謎だらけです。


箱の中にはインストも無く、これだけ。ネームプレートや台に注目。
上段から下段へ向けて新しくなる。本文参照。
他のキットに入っていた
発売チラシ
タミヤニュースVol.11
の発売予告記事