ビクター


発売時期 発売時価格
1970/08 \250



1970年代のタミヤの主力製品は何と言っても1/35の戦車です。ちょっと大人向けに、そしてお正月やクリスマス向けに1/21〜1/25のデラックス戦車シリーズがあり、入門編として¥100のワールドタンクシリーズがあった事は先に触れました。その¥100のワールドタンクシリーズはプロポーションに無理があったのとモーターライズの動作の確実性で問題があり、70年代の声を聞く前に生産停止となります。代わって颯爽と登場したのが1/48ミニタンクシリーズです。

時はまさに大阪万博の真っ只中、カラフルなパッケージデザインでいきなり6種類も同時に発売されたから大変です。その後1年ごとに新作が追加され最終的なラインナップは以下の様になりました。

1. T−34ボルガ
2. SU85ファーマー
3. Sバルカン
4. M60スーパーパットン
5. M60A1シャイアン
6. M60A1E1ビクター
7. カノン
8. MBT71

キットNo.1,2番は車体下部共通、3番は新規で4〜6が車体下部共通、7,8はそれぞれ新規の車体下部でした。つまり、大きく分けて5種類の車体下部があったことになります。

モーターだけで¥100するのにそれが付いて¥250ですからまさにリーズナブル、買ってきて速攻で作って走らせると、ゴムキャタピラでぐいぐい走りました。「間違い無く動く」という事はもはや必要条件になってました。当初はFA13モーター付で始まりましたが、マブチの仕様変更でFA13が製造停止になると、FA130仕様に変更になります。両者の違いはモーターの軸がプラスチック側から出ているか金属側から出ているかの違いだけなのですが、こだわりの世のおじさん達は血眼になってFA13版を捜しています。後期版のFA130版の方がミニ四駆のハイテクモーターが使えるので良さそうなものですが、そういうもんじゃないですよね。ちなみに箱絵のイラストはMBT71を除いて最後までFA13付の表記のまま変更がなかったので、後期のものは箱にはFA13付と書いてあるのに実際はFA130付ということになりましたが子供達にとっては大きな問題ではありませんでした。

足の長い電池押さえ金具はあまりコシが強くなくすぐへたりが来たり、スイッチの接点と言った意味でもこれがベストと言った感じではなかったのですが、後に白箱になって再販されたときには逆転スイッチ付の組み立てやすいものに改良されました。

8種類ある中でやはり一番人気があったのはSバルカンだと思います。スエーデンの新鋭戦車で無砲塔の斬新なデザインは魅力的でした。当研究室助手も一番に買ってます。そしてボックスアートのカッコ良さで言えばなんと言ってもこのビクターでしょう。ヘリとの共同作戦という構図が新鮮で、イロコイスはキットに入ってないとわかっていても確かめずにはいられませんでした。ちなみにこのビクターのボックスアートはあの中西立太画伯なんですね。最近ではアーマーモデリング誌で日本の軍装を連載なさっている方です。これは珍しく貴重です。

このシリーズは値上げを繰り返しながら最終的には¥450となって1979年にすべて製造停止となりますが、同年秋に白バックのパッケージとなって¥600で再スタートを切ります。この時T34とSU85はシリーズから脱落し、キットNo.1はMBT71となりました。さらに80年に入ってからMBT71は本体と同じく74式戦車として新しくキットNo.7と番号を変えました。この白箱版は現在でも安価に見かけることが出来ますのでお手持ちの方も多いと思います。

その後、1994年になって74式戦車とカノンが1/48リモコン戦車としてリニューアルされたのは記憶に新しいところですが(それでももう5年前なんですね)車体下部は新規に作られ、両者共通となりました。この時惜しむらくはデカールが廃止されステッカーになったこと。ミニ四駆時代とは言え、これだけは納得いきませんでした。でも良く走るよ〜。


勢揃い。カラーデザインが見事 初版のFA13モーター付ギアボックス
FA130付に変更 白箱版は逆転スイッチで前後進した
初版の電池金具 一発抜きの車体上部。基本が良いだけにディテールアップも...