田宮模型全仕事1
(AFV編)


1999年12月のある日、助手の本業である(どっちだ?)会社の電話が鳴りました。後輩がその電話をとりメモを残してくれました。「タミヤの本を出すので連絡を頂きたい。電話番号は...」

電話を下さったのはフリーライターの集団B社のC氏でした。聞けば「田宮模型の仕事」を出版した文春ネスコに「是非今度はキットのカラー写真紹介のビジュアル本が見たい」との意見も寄せられ出版する方針となったが、文春ネスコではマニアを納得させるライターがいないので自分が編集も含めてすべて買って出た。すでにライターの手配も済んで書き始めさせてているとのこと。しかし文春ネスコから話を受けてから3ヶ月が過ぎ、C氏もブレインが欲しくなりタミヤに相談したところ、タミヤから助手の名前が出たというのです。天にも舞い上がる光栄な話で恐縮しながらも喜々として説明を受けました。

そのあといろ〜〜んな事があったのですが、結果として当初の担当ライターが書いたキット解説原稿は締め切り直前まで待たされた上にすべてボツとなり、ミリタリーミニチュアシリーズの解説を急遽タミヤメディア担当のU氏が、そして残りをすべて助手が担当することになったのです。結局発売は2ヶ月遅れることになりました。

助手が担当したのはいわゆるモーターライズ部門です。こだわったのはバージョン違いも含めてすべてのキットの箱をカラーで載せること、完成品はすべて「初版」で見せることです。この本の企画段階から参加できていたらこのモーターライズ部門に3倍のカラーページ数は希望し(これでも当初の2倍以上に増やしてもらったのです)、1ページ目はMMでは無く、当然1/35パンサータンクの完成写真をデカデカと載せることを提案していたと思うのですが(^_^;)幸か不幸かそうなっておりません。尊敬するある方に「マニアが作りたいようにだけ作ると、本当に売れる本は出来ないものですよ」と諭されました。この本は現在も増刷を重ねており、好評な様ですのでおっしゃる通りなのかもしれませんね。

カラーのページ割ではそんな具合でしたが、その他は本当に自由にやらせていただけました。解説文のページに多数のアキが出来ると知るとタミヤニュースのバックナンバーからキット解説を転載しました。熱のこもった開発担当者の文章。少年時代にむさぼるように読んでいたあのフレーズが甦った方も多いのではないでしょうか?またボックスアートの絵師をすべて特定させたのもこだわりです。実際にお描きになった方に直接会ってすべて確認してあります。現在もタミヤ社員イラストレーターでいらっしゃる方々の名前も当然載せました。そしてすべてのキットに発売年月と製造停止年を入れたのも初めての試みです。タミヤ社内でも資料が散逸しているものが多く困難を極めましたが、各種雑誌記事、広告、カタログなどから理論武装したものばかりです。発売年月と製造停止年を入れることで「にわかコレクター」の相場が上がる懸念がありましたが、正しい歴史を伝えたい思いがはるかにそれを勝りました。p176からの11ページはCOLLECTOR’S REPORTと称してこれまでの研究成果(?)の一端を紹介させていただきました。

発売は2000年5月24日。直前に行われた静岡ホビーショーで限定300部の先行発売もされました。当日お忍び(?)で助手も販売会場を訪れましたが、目の前で続々と売れていく様は嬉しくもあり責任も痛感しました。実はこの本の初版にはいくつか誤植があり、それをこのHPの掲示板を通して「誤植があると思います、教えて下さい」と募ったところ沢山の反響を頂きました。おかげさまで1ヶ月後の増刷決定時にすべて修正対応が出来ました。助手は知らなかったのですが、この対応の早さは出版界では珍しいことなのだそうです。一重に皆様に感謝です。初版をお持ちの方には、後日正誤対応表を公開予定です。

(2000/05/25)

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