リモコンボックスの変遷



※各リモコンボックスの分類呼び名は当研究室でつけたものです
最初期レバー式(1962〜)

記念すべき1/35戦車シリーズNo.1パンサータンクは、最初は砲身の先に赤色の豆電球をも搭載したシングルキットとして発売されたが、わずか半年後にリモコンキットも発売になった。その第一号リモコンボックス。厚紙製の逆転スイッチ二つを使って左右別々のモーターを独立に正逆回転させるという発想は、36年前にして既に完璧で、現在も基本的にこの構造は変わっていない。

本体には、「REMOTE CONTROL CELL(電池) BOX」の文字が刻印され、頭文字のRがデザインされている。帽子?をかぶった少年のイラストがあり、裏面には最初期ロゴの地球儀マークも刻印されている。成形色は肌色に茶色の樹脂をわざと荒々しく混合した大理石仕様で、色の組み合わせや混合模様の微妙な違いや、灰青色単色の物も確認されている。

1/35では、パンサータンク、タイガータンク、ロンメルタンクの3種類。その他、250円で売られていたワールドタンクシリーズのリモコンキットでも使用された。そして驚くべきことに、この時代に早くも別売りで「リモコンセット」としても発売されていた。
押しボタン式カマボコ型(1963〜)

1/21デラックス戦車シリーズのNo.1、M4シャーマンのリモコンに付属した、押しボタン1号機。前進は白、後退は赤のそれぞれ4つのボタンを押して操作する。

それまでの、厚紙製のレバーという素材感をオールプラスチックに変えた、まさにデラックスタイプボックス。スイッチ板も配線済みでメカニカルな仕組みを味わえた。ただ、本体と電池カバーの合いがあまり良くなく、電池の出し入れは苦労したと思われる。またタミヤは戦車のリモコンボックスをすべてこれに統一した為、250円のワールドタンクと、あの1/21ビッグショットのリモコンボックスが同じ物!という子供心に納得いかない現象もあった。

それでもなんとか差別化をはかろうとしたのか、成形色は少なくとも4色が確認されている。ちなみに当研究室ではオレンジの1/21最初期型ビッグショット、灰青色の1/21ハーケンクロイツ(V号突撃戦車)を所有。
押しボタン式角型(1966〜)

機能は先代と全く変わらないが、より洗練されたデザインになった。刻印文字からCELL(電池)の文字が消え、単に「REMOTE CONTROL BOX」となり、頭文字のRも4本コードをイメージしたすっきりした物に変更。また、電池交換も裏面からに変更された。

記念すべき1/25リモコンパンサーから使用され、その後1/35もすべてこのタイプに変更。ブリスターパックされた為、おもちゃ屋さんでも高級感抜群。また、リモコンボックスやギヤボックスの万引き防止や、部品紛失防止にも効果を発揮した。

このリモコンボックスはよほど評判が良かったらしく、単体でブリスターパックされた「別売りリモコンボックス」、さらに左右2つのギアボックスと一緒にブリスターパックされて「REMOTE CONTROL BOX SET」として67年7月に250円で発売。当時のタミヤニュースVol.4には「このセットを使えばツインフラックやアーチュリーもリモコンに出来ます」の記述が...
2段レバー式プロトタイプ(1968〜1970)

1968年5月発売の1/25デラックス戦車シリーズNo.8チーフテンの為に当時のタミヤの技術を結集して開発された、前進2段、後退2段の完全新型リモコンボックス。単2電池4本使用は変わらないものの、直列3Vと6Vをレバーによって切り替えることにより、2段変速を実現。まさにあこがれの夢の箱であった。

ただプリント配線された2つのスイッチ板や、電池金具やリモコン用コードまで結線されたレバー部は、複雑な仕組みでハンダを含めて工程数が多く、メーカー側としては大量生産に向かなかった事は素人目にも明らかだった。この初版のチーフテンはRE−26モーターを上下2段に配置するこれまた新型のサイドワインダーギアボックスだったが、これも相性が悪く電池消費量が非効率だった為、1970年5月にモーター左右並列型の従来のタイプのギアボックスに改められ、合わせてこのリモコンボックスも後述の物に変更された。

また、このリモコンボックスは68年7月にニューリモコンボックスとして、箱入り500円で発売されたが、1/25リモコンチーフテンの初版にのみ付いていたものと合わせても販売期間はわずか3年あまり。まさに幻のリモコンボックスである
2段レバー式(1969〜)

上記のリモコンボックスとアクションは全く同じだが、機構を格段に簡略化し、デザインもあか抜けた改良型。こちらはこの後1/25デラックス戦車シリーズのスタンダードになる為なじみの方も多いのでは...

当研究所の研究では、このリモコンボックスが初めて世の中に出たのは、1969年発売の1/25リモコンT34からとしていますが、この1/25リモコンT34の初版では、上記の2段レバー式プロトタイプだったという説を否定しきれていません。どなたかご存知の方、教えて下さいお願いします。
1段レバー式(1970〜)

1/35戦車シリーズNo.7、M41ウオーカーブルドックがこの新型リモコンボックスを伴って、1970年1月に1回目のリニューアルをされる。

上記の2段レバー式のデザインをそのまま踏襲し、1/35戦車シリーズのリモコンといえばこれというおなじみのリモコンボックス。楽しい工作シリーズのNo.4としても長らく愛された。T55コマンダーなどに、灰色の成形色の物があったりしてうきうきさせられた。

ちなみに1970年1月以前に発売されていた、1/35リモコン戦車には、すべて押しボタン式リモコンボックスタイプが存在する事になる。それは、下記のキット。

T10、T55、T34、SU−100、ナポレオン、キングタイガー、ハンティングタイガー、パンサー、ロンメル、レオパルド。
スティック式(3ch、2ch)(1978〜)

楽しい工作シリーズのNo.36、3チャンネルリモコンボックスとして発売されたが、砲塔も旋回する1/35戦車シリーズの3チャンネルリモコンM1エイブラムス、ゲパルド用としてもキットに使われる。これまでの単2電池X4ではなく、単1電池X2。ちなみに4チャンネル用の成形色は青。

1/35戦車シリーズの74式戦車もMT252版までは、先のレバー式リモコンだったがその後、この3チャンネル式のパーツを流用して2チャンネルスティック式に変更。
最新型レバー式(1994〜)

長らくリモコン戦車を製造停止にしていたタミヤが、市場調査も兼ねて?世に問いかけたゴムキャタピラ1/48リモコンミニタンクシリーズ付属のリモコンボックス。

一瞬、上記のスティック式の焼き直しに見えるが、全くの新型。使用電池が単2X2に変更され、ミニ四駆時代を反映して単3X2でも使用できるようスペーサーも入っている。その後、このリモコンボックスは単独で楽しい工作シリーズ入り

キットは74式戦車とカノンの2種類があるが、車体下部は30年前に製造された物とは違い、新規だが、この2つのキットでは共通である。