ギャラント・メン



当研究室の専門は言わずもがなのタミヤですが、そのタミヤが初めて発売した「人形セット」は先に触れた1968年7月発売の「ドイツ戦車兵セット」です。しかしこれが国産初の人形セットかと言うとそうではありません。オモチャ然とした物を除き“スケールキットとして発売になった”と条件をつければ、間違いなく最初期時代にあたるのがこのフジミの「ギャラント・メン」です。

お恥ずかしながら、これまたこのキットについては助手が良くわかっておりません。皆さんに教えて頂ければ...の思いです。つまり、このページが公開された後様々な情報が入れば、以下の文章は大幅に増補改正される事になると思います。

まず第一に発売時期がわかりません。同じタイトルのTV番組が在ったそうですから(えっ知らないの?世代の差か...とため息が聞こえそう)大体の事はわかるはずなのですが、1965年版のフジミカタログには載ってます。などと言っていたら鎌倉亭猫乃屋さんからレコードジャケットの画像を送っていただきました(99/07)ありがとうございます。同時期には日東の「コンバット7」やマルサンの「コンバットソルジャー」などがありました。どっちが先なのでしょう?また、この時期の兵士のプラモデルはほとんどが外国製のコピーですが、それぞれオリジナルは何だったのでしょうか?

この「ギャラント・メン」、ベネディクト大尉、サム一等兵、ギブソン一等兵としっかり固有名詞化された、3体入り¥30というキットですが謎だらけです。

まず、ロットによって中に入っているポーズが違います。当研究室にはひょんな事から10箱(!?)ありまして、全部開封して調べてみると全体では5種類のポーズがあり、その中からランダムにそれぞれ3体ずつ入っていたことがわかります。上記写真の左から順にA,B,C,D,Eとしますと、CとDとEが割とノーマルに入っており、Bの火炎放射燃料タンク別部品版は貴重、Aの地雷探査版は1個しかない超貴重品です(あくまでも10箱の中での統計です)。中にはC,C,Eなんて組み合わせがあり、さぞかし買った子供はがっかりしたのではないでしょうか?

そして驚くべき事に箱を裏返してみると、この写真に載っているポーズが一体も無いのです。「そうか、箱によって中に入っているポーズが違うのか」と気づいた少年が、左手を腰に当て堂々とパットンの横に立っているベネディクト大尉(?)目当てに、何箱買い続けても永遠に出会う事が出来なかったのです。この謎については既にねこにいプロダクツさんが、以前掲示板で研究発表なさいましたが、同時期にフジミから発売された「コンバット・マリーン(5体組み¥50)」について触れなくてはなりません。カタログ写真で見るとなんとその5体とはこのページにある5種類の兵士そのものなのです。つまり、本来は箱によるロットの違いなど存在せず、ギャラント・メンは箱の裏に書いてある3体がそのまま、コンバット・マリーンはまさにこのページの写真の5体が入っているはずだったのに、こんな事になってしまったようです。(ちなみに当研究室の10箱のみが変だったのでは?と言う仮説は、時期も場所も全く違う所で入手したねこにいプロダクツさん所有のギャラント・メンも、このページの5体からの3体だという事より否定されます。)

じゃあ、コンバット・マリーンには何が5体入っていたのでしょう?また、ギャラント・メンに本来の3体が入ったロットもやはり存在したのでしょうか?さらに言えば「コンバット・マリーン」のどこが「マリーン」なんでしょう?などと言っていたらこれまた鎌倉亭猫乃屋さんから貴重な画像を頂きました(99/07)。「コンバットマリーン」です!これを見ると当研究室の仮説が正しかったことがわかりました。つまり「ギャラントメン」に入っている5種類の兵士はコンバットマリーンその物だったのです。残念ながら鎌倉亭猫乃屋さんはキットそのものは発見できず、以前撮影した画像だけが今回見つかったと言うことで、中に何が入っていたかは確認が取れないのですが、箱絵のままの5体が入っていたと考えるのが普通でしょう。しかし最近全く別のルートからも「自分のギャラントメンに入っていたのもあの5種類の内の3種類でした」と言うメールも頂きましたので、いよいよ本来のベネディクト大尉の行方が気になるところです。おそらく3人だけの秘密任務で地中海方面に作戦行動していることでしょう。(映画の見過ぎ)

この「ギャラント・メン」はスケールも謎です。キット自体の大きさから見ると1/35より一回り小さ目ですから1/40といったところでしょうか。ちなみに外箱にはスケール表示はありません。ところが1965年版カタログにははっきりと1/35と謳ってあります。これは当時既にタミヤの1/35戦車が爆発的人気を誇っていたのに便乗した事が十分考えられます。でも箱の裏に組み合わせて並べてある写真は1/50として誰あろうフジミから商品化されたパットンですし、この後1965年新発売の幻の名キット1/30パンサーには、このギャラント・メンが付属していたとの記述が総合カタログにあるのです。実はこの1/30パンサーについては知人が所有しており確認してもらったのですが、ギャラントメン兵士は入っていなかったことが判明しました。しかしカタログに一時は載ったことも考え合わせると、キットに応じて自由に身長を変えていたとしか考えられない恐るべき兵士達です。

(1999/07/12)

ドーナツ盤を知らない世代も増えました。

こ、これぞまさにギャラントメン 箱の裏を見て益々感動。

1965年チラシより:ギャラントメンが付くと書いてあったが...

高荷義之画伯入魂の作 このギャラント・メンはどこに行ってしまったのでしょうか?

1965年日東カタログより:「コンバット7」は4種類あった。