チョロタン

発売時期 発売時価格
1980年代初頭 ¥200



なんとも気の長い「研究画像」の更新です。前回のミドリ1/76戦車からほぼ2年ぶり。その前の研究はすべて20世紀でしたのでなんとも情けない話です。今回、ついに童友社「チョロタン」がコンプリートとなりましたので発表させていただきます。

このキットに関しては既にアーマーモデリング誌(2002/11号)で、概要を紹介しました。1960年代からオリジナリティーあふれる素晴らしいキットを出し続けたミドリ商会が1978年2月に廃業となり、知的財産である多くの金型が表舞台から姿を消しました。しかし一部のキットは童友社に金型が引き継がれ販売されたのです。

この「チョロタン」もそのケースの筆頭です。ミドリの入門キット代表作1/76インスタントタンクシリーズの金型をそのまま引継ぎ、フリクションだったタイヤ走行ギミックをプルバックゼンマイに変更して発売されました。ボクストップもミドリスタイルを継承し完成品写真としましたが塗装されているのが大きな変更点です。しかしその作例塗装もいかに80年代前半だとしても、なんだかなあという感は否めません。年少者向けなので妙にリアルな塗装だと敷居を高く取られて・・・と考えたかどうかは定かではありませんが、ある意味で「これならボクにも塗れそうだ」という親しみやすさを狙ったのかもしれません。

左上に共通のワンカットイラスト(ドイツ戦車兵風)が入り、右下にはそれぞれ別のイラストが入ります。そのイラストには顔が描いてあるミサイルがあったかと思えば飯ごうすいさんまであり、担当者の苦労が感じられます。ナンバリングもミドリ時代はパンサーが1番だったのですが、こちらはパットンが1番となり、完全にシャッフルされました。

「童友社」「ミニタンク」「プルバックゼンマイ」と来て、このラインナップを見たら「これはもしかして」と思われる方も少なくないでしょう。そうなんです2002年秋の東京プラモデルラジコンショーで童友社から発表された完成塗装済みプルバックゼンマイのシリーズはこの金型そのものなんです。ミドリ時代から考えると、実に40年近く前の金型をそのまま使用するという製品で、ある意味、ミドリの基本設計の確かさが確認されたともいえるかもしれません。

ちなみに「アーマーモデリングの戦車模型歴史研究室と童友社が連絡を取り合っているのでは?」という意見を何度か聞きましたが、全く違いまして、当の本人が一番驚いたというのが実情です。連絡を取り合っていたのなら、貴重な貴重なミドリの四式戦車のオリジナルを組んだりしませんよ(ioi)。編集部スタッフが後に童友社の担当者に確認したところ「アーマーモデリングのミドリ1/76戦車の記事は発売の大きな動機付けの一つです」との返事をもらったそうです(^_^;)。

ところでこの「チョロタン」、いわゆるコレクターズアイテムではありませんが、やはりミドリの偉業を考えると押さえておきたいところです。しかし発売時期や発売期間から考えると返って市場残存率が低く、当研究室でもその存在を知ったのが10年ほど前でして、店頭で気がついたらちょこちょこ買っていました。そんな状態でしたからコンプリートとなるのは一体いつの事やらと思っていたのですが、一昨日、一気に大団円を迎えてしまいました。それは他でもないねこにいプロダクツさんのおかげです。お互いにそれなりにチョロタンを持っていたのですがコンプリートではない、そこで「一度持ち寄ってみますか」のことで某所でミニオフ会(?)がありました。

「いや〜、最近1/144ミニタンクの完成品のトレードなんてチマタで良くやっているらしいけれど、そんな作られたブームじゃないチョロタンのコンプリートを目指すワタシ達ってオトナだなあ〜(オバカ)」な〜んて言いながらそれぞれのコレクションを出してみると、なんとお互いに無い物を奇跡的に補い合い、その場でコンプリートになるではないですか!「こういったものは揃って保管するのが一番です」とのねこにいプロダクツさんの言葉により、当研究室で完全保管することになりました。ダブったキットを立会人でもある(?)アーマーモデリングの小泉編集長にプレゼントというオマケまでつきました。

何事も揃うということはスッキリとして気持ちの良いものですね。晴れてここに皆さんに完全公開します。ねこにいプロダクツさん、ありがとうございました!

(2003/08/09)


上下箱を開けるとこんな感じ。プルバックゼンマイが見える。 中仕切りが、そのまま組み立て説明図に。


ミニオフ会会場での興奮の一瞬、思わず持参したデジカメでパチリ。