日本陸軍二式戦闘機 「鍾馗」
(1/72 フライトシリーズ No.2)

初版は1964年なので57年前のキットです。3版に登場した小松崎ボックスアートには鮮やかな赤線が描かれました。


サイトを引っ越したのに何も新しいページが無いのもいけません。2020年11月に製作した1/72「鍾馗」の拙作を紹介します

きっかけは、私が所属する模型サークル「ろうがんず」の石坂会長と一緒に、畏れ多くも「ソレドコ」の取材を受けた事でした。
この中で石坂会長から「これからプラモデル製作を始めてみようという方には1/72の航空機が入門用でオススメです」という発言がありました
この発言を間近で聞いたので改めて「タミヤの1/72零戦21型を1週間で作る」という課題を自分に課してみたところ
「いやはや、最近の(笑)タミヤのキットはとんでもない(精密な)ことになっている」という新しい発見が多々ありました
(これに関しては、そう遠くない時期に製作日記をUPします)

この時、たまたま手元にあったのがこの1/72鍾馗でして、最新のタミヤ1/72零戦と50年以上前のキットを同時に製作してみました
まさに自分が小学生の時に衝撃を受けたこの小松崎茂画伯のボックスアート再現という「少年の頃の宿題」をまた一つやり終えた気分です

(2021/05/06)

タミヤで1/72の大戦中の日本軍レシプロ機となれば、このシリーズが刷り込まれていますね
初版の1964年7月発売時に定価は100円でした。
1970年に値段据え置きで3度目のパッケージ替えがありこのボックスアートになりました。
この価格は1973年5月に120円に値上げされ、1974年1月には200円と倍額に!言わずと知れたオイルショックの影響でしたが、
当時の子供(私の事)はこのまま倍々ゲームになっていくのかとホントに焦りましたが
200円のままその後長く販売され、1979年11月に絶版となりました。
その後10年以上たってから600円で再販されて当時は驚きました

こちらはその600円版です。デカールも生きていますので、これこそサクッと作ります
最新のタミヤ1/72零戦21型を作りながらの同時並行製作では中々衝撃的です
でも、昔の航空機のキットの操縦席はどのメーカーもこんな感じでした
何度も何度も慎重に検討した結果、この位置で接着するのが一番バランスが良いことが判明しました
冗談みたいに隙間が空いていますが、この位置なんです。どうやって埋めるか考察中・・・
50年以上前のキット「鍾馗」の翼の根元の隙間は1mmプラバンを2枚挟み、瞬間接着剤のイージーサンディングを使います
瞬間接着剤だけでは乾燥が遅く、芯もないことからHGパウダーを導入し、スパチュラですくってふりかけました
何度も何度も目の細かさを変えてサンドペーパーで磨いていきます
パネルラインが消えてしまったのでダイモテープをガイドにけがきます。もうこの時点で「サクっと作って」が・・・
結局凸リベットも気になり始め、全てを削り落としてしまいました。もうどこが「サクっと」か・・・
全体をシルバーでエアブラシします。かなりスッキリしました。
マスキングして白帯をエアブラシし、さらに味方識別の黄色ラインをエアブラシします
画像が間違って映っているわけではありません。「ケープ」はヘアスプレー塗装という技法で使います
赤帯が経年で剥げた状態の再現です

ラッカー塗料でシルバーのベース塗装をしてマスキングを終えてあるところで、その上からケープをさっと2度吹きします
次に塗膜の弱いタミヤアクリル塗料の赤をエアブラシします
この時、溶剤はアクリル専用ではなく水道水で2倍に薄めるのが良いとされています。塗膜がより弱くなるからです
ここが難しい・・・塗料が乗らないのです。前回もちょっと失敗したのですが同じように再チャレンジです
はみ出た塗料をデザインナイフで削り落としシルバーや白でタッチアップすると目立たたなくなります

そしてこれからがヘアスプレー塗装の醍醐味です
水を含ませた硬めの細い筆で根気よく上から叩いていくと赤の下に塗ってあったケープが溶けて、
赤色がパラパラはがれた表現になります
反射防止の黒を新たにマスキングしながらエアブラシ。搭乗員のすべり止めのゴムシートも塗装で再現します
先が見えてきました・・・
排気管の汚れやディテール塗装を追加し、全体を艶消しクリアーでエアブラシします
リベットを全部取ってしまいましたが、50年以上前のキットのプロポーションは「鍾馗」らしさがとっても良く出ている気がします
同スケールのフィギュアを置くとぐっと良い感じに・・・
実はこれ、ウクライナ製のソフトビニール(?)キットです。タミヤPP用プライマーをスプレーすれば塗装も出来ます
日の丸の鉢巻きを締めるパイロット。勇壮ではありますが
実際にこの機体は本土防衛でB29を落とすために大変厳しい結果になります
小松崎茂画伯のこのボックスアートを再現するには赤の帯をどうやって塗装するかでした
この赤帯のデカールがキットに入っていなかったので「筆塗りの赤」で残念な状態になった子供が全国に多数いたのでは・・・

デカールが入っていなくてあきらめた塗装ってありますよね
1/35M4シャーマンの顔とか1/100バートル民間型のニューヨークエアウエイズの機体下面とか・・・
同時製作していた最新のタミヤ1/72零戦21型はとんでもなく素晴らしいキットです