おおすみ
あしかけ3日、実働26時間で完成しました。直射日光の下で撮影。 |
今年の5月の静岡に向けて、あるプロジェクトをひっそりと始めたところに、例によって何の前触れも無くカイシャのデスクから1本の電話がかかってきました。3月11日(木)の21:00頃の話です。 デ:「もしもし?もうすぐ『おおすみ』がクェートに到着するんだけれど、この模型って、もしかして持ってる?」 助:「は、はあ。いや、キットはこんなこともあろうかと持っていますが、すいません、組んでないんです」 デ:「そうか〜、いや、あさっての土曜日にちょっと使いたいんだよ」 助:「え?あさってですか?う〜ん・・・」 とは言ったもののハラは決めてしまいましたので「わかりました。なんとかします」と答えて電話を切りました。幸か不幸か翌日の金曜日は元々休日ですので丸1日使えます。ましてタミヤの最新のキットですのでストレス無くサクサク組めるだろうとの計算もありました。しかし例によってそんな状況だからこそ分不相応なことをやってみたくなるのが当研究室助手の悪いクセです(^_^;)。そういったことを相談するにはこの方しかいません、早速「タミヤの船ファン(通称:タミフネさん)」さんに電話をしました。 助:「いつも突然ですいません。あの〜、『おおすみ』専用のエッチングパーツなんてありますか?」 タ:「はいはい。○ットロードのがありますね。偶然だなあ〜、自宅に一つ余ってますよ」 助:「え!?そ、それとモデギャラで売られていた海面を表現する板なんて・・・」 タ:「はいはい。偶然だなあ〜これもありますね」 助:「そ、そうですか(汗)。それと室蘭出港時の『おおすみ』の写真なんてお持ちですか?」 タ:「いや〜、新聞の切り抜きですがカラー写真もありますよ。今、出先なんですが、なんならお届けしますよ」 助:「は、はい」 タ:「そうだ、○ットロードから出ている別売りデカールセットもついでに持って行きますよ・・・」 と、この電話から2時間ほど後に、深夜にもかかわらずわざわざ助手の自宅まで届けに来てくださいました。 助:「す、すいません!」 タ:「はいはい。“ご注文”の品はこれですね。そういえば『むらさめ』はどうします?」 助:「え?『むらさめ』って護衛艦ですか?イヤ、今回はちょっと・・・」 タ:「実は○オシマの作りかけを持ってきたんですよ。艤装は全くしてなくてパテ埋めしただけなんですが・・・」 助:「は、はあ・・・」 といったことになってしまいました。この日はあえて全く製作に取り掛からずにネットで資料を集めたりしながら24:00過ぎに寝て、翌日に備えました。 運命(?)の12日(金)の朝がやってきました <6:00> 製作開始・・・といってもまだ資料の整理やこの日1日の時間配分を考えるとあっという間に時間が過ぎていきました。エッチングパーツをどこまで使い、どれを使わないかの判断が重要です。 <8:00頃> 実は製作したキットは「おおすみ」ではなく、同型艦の「しもきた」です。このキットは「おおすみ」と比較して内部まで再現されていること、そのため甲板が透明パーツで出来ており完成後も内部が見られること、搭載する陸上自衛隊車両群が大量に入っていることが大きな違いです。前部のエレベーターを下げた位置にするか、内部が見られるのでどこまで塗装するかと組み始めましたが、「時間がない!今回のデスクの要望から考えると内部は見せない!」と急遽方針変更。見かけの時間は1時間近くロスしましたが、後のことを考えると正しい決断(?)でした。 <9:30頃> 愛犬がワンワン吠えるので、何かあったのかな?と思っていると電話が鳴りました。他でもないタミフネさんです タ:「いやあ〜、車両が足りないと思いまして、今、ご自宅のポストに入れてきたのですが・・・」 助:「え!?」 なんと『しもきた』のキット2つ分の車両パーツと、○ットロードの別売り車両パーツまで届いています。もうお礼の言葉が見つかりません。とにかく組むしかないと黙々と作業を進めました。 <11:45> とりあえずタミフネさんに途中経過画像を添付してメールを出しました。○ットロードのエッチングパーツは艦橋のタワーにつく床板もすべてエッチングで入っており、それぞれ0.3mmのプラバンを裏に貼るように指定されていましたが、これは使わずにキットのままとしました。しかしレーダーや手すりのエッチングパーツ効果は流石で、キットが引き立ちます。真鍮線やピアノ線も使ってディテールアップしていきましたが、時間配分に焦りが出てきました。 <15:00> お昼ごはんも食べずに、ようやく艦橋が完成。なまじ手すりを付け始めると、すべてにつけなければバランスがよくありません。時間配分を考えると絶望的ですが、明日の朝まで寝なければなんとかなるような気もしてきました。 <20:00頃> 夕食をはさみながら、なんとか『おおすみ』船体が完成しました。このキットは艦橋が全製作時間の8割近くを占めていた事に後で気付いたのですが、甲板まわりの手すりもそれなりに大変な作業です。万景峰号での経験が活き、現物合わせでどんどん進めることが出来ました。 <20:30> カイシャのデスクから電話がありました 「申し訳ない。明日は他の企画も入ってきたので、あさってに変更だ。もしかしたらあさっても無いかもしれない」 心穏やかに冷静に計画を練り直しました(^_^;)。 <22:00頃> 護衛艦『むらさめ』の製作開始。○オシマのキットですが、なかなかシャープな出来です。こちらはあくまでもバックに置くという感覚なのでエッチングパーツを使わずに、アンテナやポールだけ真鍮線やピアノ線で差し替えました。元々タミフネさんが丁寧に作り始めてあった状態でしたので、2時間ほどで完成です。 <24:00頃> いよいよ塗装開始。甲板を2色に塗り分けるため1色目を調合しエアブラシ。せっかくの手すりが目詰まりしてしまう恐れがあるのと、時間節約のためサーフェイサーは使用しませんでした。 <28:00頃> 甲板をマスキングして2色目を吹きます。この色は『むらさめ』の船体の色にも当たるので、とりあえず基本塗装が終了した形になりました。 2日目 <6:00頃> 今回の製作に当たり、タミフネさんから『おおすみ』のキットも頂いていたのですが、「キットが設計された時に無かった艦番が甲板後部に大きく描かれている」とのことで、この番号などを自作デカールで再現する事にしました。甲板のエレベーター上に描かれた点線もキットには無いので、こちらも自作デカールで再現します。点線の間隔がしっくりするものが無かったのですが、雰囲気重視で押し切りました。 <8:30頃> 本日はお仕事です(^_^;)。出社します。 <20:00頃> 帰宅後製作再開・・・。大きなポイントはデカールです。シルバリングを考えるとトップコートをしなくてはならないので乾燥時間がポイントです。大判のデカールもありますが、デカール軟化材を使って丁寧に貼っていきます。 <23:00頃> 海面のボードをクリアーブルーでエアブラシ。片面だけを少々ムラが付くように塗装します。 <25:00頃> デカールの上から光沢クリアーを3度吹きで馴染ませます。同時にようやく車両に取り掛かります。結局『しもきた』のキット2箱半分の台数を並べる事にしました。両面テープで台紙に裏返しに貼ってフラットブラックをエアブラシ、乾燥後表返しにして、オリーブドラブ系の色で車体を塗装し、カーキドラブ系の色を調合してホロに吹きます。 <27:00頃> 海面ボードに配置してみると、高さを出すためにヘリコプターを置くことを急遽決定。ローターなどを薄く削って全体にホワイトサーフェイサーを吹いて就寝。 3日目 <6:00頃> 全体につや消しクリアーをエアブラシ。エナメルカラーのホワイトで『おおすみ』『むらさめ』のレーダーなどを筆塗りし、フラットレッドでアンテナ基部なども塗装。ヘリコプターの細部も筆塗りで仕上げます。 <7:30頃> タミフネさんからお借りした新聞の切り抜き画像を見ながら慎重に車両を甲板に配置して瞬間接着剤で固定。残念ながら最新型の軽装甲機動車はキットに入っていないので、73式小型トラックで代用。96式装輪装甲車は甲板上には見えないので(重量の関係で甲板には置けないのでは?)今回は使用せず。 <8:00頃> 完成。海面ボードには艦船を固定するのは、普通は裏からネジ留めなどするそうですが、今回は大胆にも瞬間接着剤で直接固定(^_^;)。 以上、初日18時間、2日目6時間、3日目2時間の実質26時間で完成しました。 最後になりましたが、すべての工程でお世話になりっぱなしだった「タミヤの船ファン」さんにこの場を借りてお礼を申しあげます。「ありがとうございました!!」 (2004/03/15) |
<11:45> スタートから実質5時間 | <15:00> スタートから8時間。これがすべて |
<20:00> 12時間経過。『むらさめ』はこの状態で受領 | エッチングパーツは万景峰号の経験が活きました。 |
専用パーツなので、このエッチングは容易です。 | <28:00> スタートから実働18時間。初日はここまで。 |
艦橋もエアブラシするとすっきり。 | 艦番「01」はエクセルを使った自作デカール |
点線の間隔が違うのですが、雰囲気重視で。 | 「むらさめ」の煙突マスキング |
「しもきた」のキット2隻半分のトラック群 | 3色でエアブラシ |
室蘭出港時の報道写真を参考にトラック類が配置してあります。 |
タミヤモデラーズギャラリーで販売されている「海面」はA3サイズ。 |
逆光のシルエットが美しい。 |
「むらさめ」は完全素組みですが、良いアクセントに。 |
ヘリのローターと固定ピアノ線のみ、フォトショップでちょこちょこと・・・。 |