05月15日(土)
<あと00日>

夢の静岡(2)

夢の舞台。手前の1/35完成品は!?


14日(金)の夜に一旦東京に戻った当研究室助手ですが、テンションは相変わらずハイなままでした。静岡からの新幹線の車中で読んだアーマーモデリング(Vol.56)の中に渡邊恭行氏が書かれた「金属工作の楽しみ〜その3:ハンダづけをやってみよう」があったからです。まさに前夜にハンダづけで汎用フックを作ろうとしながら、持ち込んだ真鍮棒の太さが合わずに断念。なんとか今晩こそ、それをリベンジと思っていたところでしたので、驚いたの何のって・・・「神様は見ているなあ〜」と、勝手にまた思った瞬間でした。

翌土曜日は朝3:00から仕事です。前日までの絶望的な睡眠不足を考えると、この日の夜に何時間睡眠時間が取れるかが翌日のシゴトを考えると大きなポイントになります。「4時間は寝ないといけないな・・・とすれば遅くとも23:00には寝なくては・・・」と思っていたのですが、作業を始めたのは21:00過ぎ・・・結局、朝まで寝ることなく、完徹になってしまいました(^_^;)  よってこのページは日付をまたいだという意味での15日(土)扱いとさせていただきます。

当研究室助手にとっては以前から苦手だったハンダづけでしたが、今回の渡邊氏の記事には目からウロコが落ちる記述がいくつもありました。しかし基本はいたってシンプルです。1)接合面は出来る限り新鮮にするためヤスリで磨く。2)金属を熱し、ハンダをつけるのではなく流す。3)フラックスは必ずつける。4)ハンダ最小限の量で良い。5)コテ先は熱くなりすぎないように。

まずハンダをあらかじめナイフでスライス(簡単に出来るんですね)しますが、本当にびっくりするぐらい少量にします。次に0.5mm真鍮棒を600番のサンドペーパーで磨いてから切断し、正確に寸法を測ってから折り曲げます。ハニカム状の素焼きの板の上に簡単な治具を作り、T字型に真鍮棒を置いて作業環境を整えます。あとは接合面にフラックスを塗ってからハンダスライスを1カケラだけ載せ、真鍮棒の一端をハンダごてで熱してやれば、ある温度になると自然にハンダスライスが溶けて流れ込んでくれます。

最初は色々と失敗しましたが、何度かやり続けるとさすがにコツをつかみました。あとはいくつも作り続け、最終的には予定数の倍近く作り、良い物を選ぶ形にしました。車体にピンバイスで穴をあけ、差し込んで固定します。さらにラバーシートを細く切断し、いくつも結んで繋いでラバーベルトも作りました。これは実際には富士総合火力演習で使われた車両にあったもので、イラク派遣車両には確認できていないのですが、無塗装の白い車体のアクセントとして掛けておく事にしました。

ついに今度こそ本当のタイムアップの時を迎えました。穏やかな気持ちでRCバッグに作品を入れ、朝3:00前にカイシャに向かいます。完徹が返って緊張感を生み、当日は集中力の高いシゴトができたのかもしれません。

朝8:00過ぎにシゴトを終え、上司にあらかじめ許可を取ってあったので少々早めですがカイシャを後にします。向かうはもちろん東京駅。静岡までは新幹線でわずか1時間なのですが、間違って寝過ごしては大変と、激しい睡魔と戦いながら一睡もせずに静岡駅に到着。もうなんでもアリのハイな状態でした。

静岡ホビーショー会場に飛び込んだのは朝10:00過ぎ。当然ながら既に開場した後でした。

当研究室助手は「可動戦車模型愛好会」に籍を置いていますが、実は今回の静岡ホビーショーを契機に新設されたサークル「輪会(わかい)」のメンバーの末席に入れていただいていました。この会は発起人が岡部和生(1/12タミヤホンダF1設計者、現プロタージャパン代表)氏で、世話役がDr.スクラッチさんというとんでもない構成で、メンバーは全国に名だたるモデラーの方々が名を連ねます。「プラモデルに留まらず様々なジャンルで模型を愛し、楽しみ、見せる事にこだわろう」というのがコンセプト。なんと田宮俊作社長の名前までメンバーの中にあったのです!「世界一の模型メーカーの社長自らが“作る楽しさ”を率先して見せてもらいたい」という一念で、年頭に静岡本社まで発起人と世話役が乗り込んでいって口説いたそうです。

といったわけで、俊作社長が何かを作っていらっしゃるのは聞いていましたが、それが当日会場発表のタミヤの新製品である1/35軽装甲機動車だと知ったのが、本番の1週間ほど前。元々「怖い物はもう何も無い」と開き直っていましたので、「同じ車両だから並べましょう」という世話人の言葉に積極的に反対する力は残っていませんでした。

混雑する開場の中を走り抜けると、ひときわ目立つ「輪会」のテーブルにたどり着きました。既に俊作社長の1/35軽装甲機動車と、これまた無理を言って作ってもらった平田英明氏の1/10フルスクラッチ自衛隊隊長フィギュアがターンテーブルの上でグルグル回っています。早朝から展示台を作り上げたメンバーにお礼の挨拶をして、とにかくターンテーブルに乗せました。「おおっ!」と静かなざわめきが起こったのが、私にとっての何よりの祝福のファンファーレでした。

実はこの日も翌日も会場では色々とイベントがあったのですが、それは翌日の日記で触れる事にします。

いよいよ一般公開の初日が終わり、この日の夜は食事会のハシゴ状態(少なくとも4軒重なっていた)です。何といっても1年に1度の盛大なイベント、全国(大袈裟ではなく世界からも)から集まってくる仲間と楽しくも貴重なコミュニケーションの場だったのですが、不覚にも一番大切な1軒目で安心してしまったのでしょう、こっくりこっくりやってしまったのでした(・_・;) 「す、すいません!」と飛び起き、「このまま2軒目、3軒目と行くと危ない、そうだ!ホテルに帰って1時間だけ仮眠を取ろう!」と21:00前に、一旦ホテルの部屋に戻ります・・・ここから記憶が・・・あら?・・・気がついたらベッドの上で日曜日の朝6:00を迎えていました(ioi)

(2004/10/25)


目からウロコ。ハンダをスライスします。 たったこれだけの量で十分なんですね。
0.5mm真鍮棒をヤスリで磨き、正確に折り曲げます。 簡単な治具を作り、手前から押さえながらハンダ付け。
慣れてきたら量産体制に入れました。 ドアの取っ手のすぐ傍にも固定します。
シャープなアクセントになってくれます。 実物同様ラバーベルトもかけてみます。
手前の1/35完成品は、なんと田宮俊作社長の作! そして平田名人の1/10フルスクラッチ○○隊長。