1/50 隼(プロペラ滑走)
(「静岡ホビーショー2007」参加作品)

発売時期 発売時価格
1964年9月 200円


スイッチを入れてプロペラを回し、手を離すと勢い良く滑走をはじめました!


2007年5月12日。映画「僕は君のためにこそ死ににいく」が公開されました。太平洋戦争時に鹿児島県の知覧飛行場から飛び立つ若い特攻隊員を描いたもので、この映画のために1/1の実物大の隼V型甲の模型が2機作られ撮影に使用されました。

当研究室助手は2006年8月の池袋東武・タミヤモデラーズギャラリーにおいて、この映画の特撮監督を務めた佛田洋氏のトークショーの司会を「会社の業務として」させていただいたこともあり、公開前から興味を持っておりました。また、その映画に使われた実物大模型が知覧特攻平和会館に屋外展示されるということで、2007年4月22日に実際に知覧に行って見てきました。

鉄は熱いうちに打て。九州から戻った当研究室助手はすぐに「タミヤの隼を作ろう!どうせならプロペラ滑走させよう!静岡ホビーショー(5月19日)の合同展に出品しよう!」となったのです。ちょうどタミヤでは1/48サンダーボルト(プロペラアクション)が発売になっていました。実はタミヤ1/48プロペラアクションシリーズは基本的にプロペラがモーターで回転するだけがウリですが、唯一このサンダーボルトのみがタイヤにベアリングを入れることにより自走まですることが前提の模型だったのです。

このレギュレーションを移植すれば隼も動くはずというのが自然な考えで、事実動きました。モーターはサンダーボルトで使われたものと同じミニ四駆のタッチダッシュモーターです。このモーターの特徴はスイッチレスということで、指でプロペラを弾いてやれば回り始めます。ただしノーマルモーターに比べてトルクが強くて回転数も高いので、指で止めようとすると怪我をしかねませんし、なによりプロペラをすぐ破損してしまいます。そこで停止のためにメインスイッチもつけることにしました。ちなみにサンダーボルトではプロペラのみが軟質ゴム系の部材で成型されており、安全かつ破損しなくなっていますが、50年前のキットである隼には当然そのようなプロペラはありません。

1964年9月に小松崎茂画伯のボックスアートで発売になったこのキットですが、当研究室助手の原体験は1970年代初頭の高荷義之画伯ボックスアートの2版です。パースがかかりスマートさを強調された構図が印象的でした。2007年当時、この映画にあわせて四半世紀ぶりに再販も一部検討されたらしいのですが、金型の問題や現代のタミヤクオリティに達していないということで早い段階で消えてしまったみたいです。

製作はサクサクと楽しく進みました。大きなポイントになる3個のタイヤはミニ四駆のベアリングを仕込みます。特に尾輪はベアリングそのものを尾輪として使用しました。またせっかく胴体内に電源を入れるのなら翼端灯を点灯させたくなるのは人情です。ちょっと前なら1/50スケールの航空機模型の翼端灯に電飾なんて小さすぎて考えられなかったのですが、この時期一般にも出始めていたチップLEDというものを使って再現することが出来ました。

キットは50年前のスタンダードとして機体表面のリベットが多数凸モールドで再現されています。これを全てルーターで削り落とすと同時に深めに彫り込んでリベットを打った歪を再現してみました。実機でどこまでどうだったかは正確には不明ですが、映画用の1/1実物大模型のイメージです。

いよいよ迎えた静岡ホビーショー当日、可動戦車愛好会にも属している当研究室助手は、1/35スケールで再現されたヨーロッパの街並みジオラマをお借りして、滑走デモンストレーション。大成功で来場者から多くの拍手を頂きました。

(2014/03/24)


当研究室助手の原体験は、この高荷画伯の2版パッケージです。
ミニ四駆のタッチダッシュモーターとベアリングを用意しました。
モーターベースをワイヤーカッターで切り出し
真鍮棒をハンダ付けし、ベアリングをそのまま尾輪に仕立てます。
メインタイヤにもベアリングを埋め込みます。ここがプロペラ滑走のポイント。
タッチダッシュモーターは指でプロペラを弾くと回り始めます。かなりトルクも強く高速です。
製作当時(2007年)にようやく出回り始めていたチップLEDも導入しました。
こんな薄い主翼の中に電球を埋め込むことは、かつては想像もできませんでした。
@は製作途中画像。左側だけ脚カバー内の内側を削っています。Aで効果テキメンと確認。
電池はカメラ用のCR2を使用。アンペアも高い3V仕様です。
配線のテストです。完成後のメンテナンスは限られたことしかできなくなります。
タッチダッシュモーターといえど、メインスイッチは作ります。
トルクが強いのでプロペラを指で止めようとすると
怪我の恐れががあるだけでなくプロペラ損傷の可能性もあります。
50年前のキットです。全面に凸モールドリベットが刻印。
ルーターで全て大胆に削り落とします。
削り落とした溝にパテを埋めてヤスリがけをします。
ベースになる銀塗装。主翼のリベット削り跡は、そのまま表面パネル歪のイメージです。
見方識別の黄色ラインをエアブラシとマスキングで。
完成です!映画「僕は君のためにこそ死ににいく」では実物大の隼2機が作られました。
両翼の翼端灯が点灯しているのも注目して下さい。
2007年当時、鹿児島県の知覧特攻平和会館にはその映画で使われた
実物大模型が屋外展示されていました。
現在は屋内展示されています。
映画用プロップとはいえ、機体表面の鋲の凹みなど参考になります。
後方には零戦32型の1/48キットに入っていた整備兵を配置。
いよいよデモンストレーション!
可動戦車模型愛好会製作のヨーロッパの町並みをお借りして・・・
想像以上に勢い良く滑走しました。