ボーイング767-200
(中国国際航空使用機)


完成年月日
2002/04/16



2002年4月15日(月)日本時間正午前、韓国釜山で中国国際航空の旅客機が墜落炎上し、尊い沢山の命が失われました。

そして当日の17:00頃、会社のデスクから助手の携帯に電話がかかってきました。「あの飛行機の模型ってあるかな?」「やはりそう来ましたか。わかりました。探ってみます。」

調べてみると事故にあった機体は“ボーイング767-200”です。出先だったので手元に資料は無く、なじみの模型店などに電話をかけまくりました(少なくともタミヤからは出ていないので、完全に専門外です。ハセガワが出していなかったかなあ・・・かつては日東が出していたよなあ)。しかし見つかるのは“767-300”ばかりで“767-200”の模型はありません。実機でも胴体を延長して定員数を増やした“767-300”が主体で、“767-200”はごく一部の航空会社でしか使われていないらしく、「かつてはあったけれど今は“767-200”の模型は生産されていないよ」とまで言い切るご主人までいらっしゃいます。一般の方には“300”でも“200”でもまず見分けが付かないだろうということはわかるるのですが、それでは納得できません。さらに一番の問題は“中国国際航空”という航空会社のマーキングです。もちろんそんなキットは見たこともありません。最悪、機体に描かれた漢字をPCで自作してなんとかし、尾翼のマークはそれらしく手描きにするとしても、残された時間(翌朝3:30が締め切り)を考えると絶望的です。

とりあえず、ハセガワ1/200の“ボーイング767-300”を買って、それからだなあと気が重くなっていた時、「中国国際航空」のデカールが別売りされているという情報が入ってきました。にわかに信じ難い話ですが、問い合わせてみると「ああ、ありますよ。“ボーイング767-200”ですね。でも残りあと数枚ですよ」というのです!・・・しかし話は簡単ではありません。あろうことか、そのデカールのスケールは1/144だというではないですか!

それでも尾翼の鳥のマークを自作しなくても何とかなりそうなのは素晴らしい情報です。また、1/144のデカールがあるということは少なくとも1/144のキットがかつて存在したということになります。・・・この時点で時間は19:00をまわっていました。そして「念のため」と寄った東急ハンズ渋谷店で、またまた自分の目を疑いました。なんとハセガワ1/200“日本トランスオーシャン航空ボーイング767-200”の模型が1つだけ売られているではないですか!あとでわかったことですが2001年の新製品でした(あまりにもマニアックなキットなので先の模型店の主人には同情します)。迷わず購入して、某専門店へデカールを買いに向かいます。オーバースケールなのは百も承知ですが使えるモノが多数あることが判明しました。

この1/144のデカールを元に縮小して1/200のデカールをアルプスドライプリンタで作るということも一瞬頭をよぎったのですが、とにかく時間がありません(十川さんも「デカール作成は協力したいけれど、今日だけは先約が入っていてダメなんだゴメン」とおっしゃいました)。しのごの考えずに「とにかく作る」を目標に帰宅しました。

作り始めたのは20:00過ぎですので、残された時間はほぼ7時間です。調色の手間と時間制限を考えて、エアブラシをあきらめ缶スプレー勝負にしました。「素組みに30分、マスキングしながらの塗装に4時間、デカールは2時間は間違いなくかかるなあ・・・」もとより寝る時間は考えていなかったのですが、とても“充実した”時を過ごしました。日本トランスオーシャン航空機用に付いていたデカールもかなり使えそうです(窓ワクなど)。結局、細さが違う2種類の紺色のラインは、本来の1/144のデカールをデザインナイフで細く切り出し、現物合わせで逃げ切りました。漢字の「中国国際航空」という文字もオーバースケールなのですが、そのまま使っても特に違和感は無いと割り切りました。

こうして完成したのが翌朝3:35、これを握り締めて会社へ向かいました。おそらくどのライバル社も、このレベルの模型はこの時間内で用意できないはずという強い自負もありました。

時間が取れなくても、睡眠時間を削れば何とかなることも学びました(^_^;)

(2002/04/16)


上の別売りデカールを72%に縮小したかった・・・。