1/100ブリテッシュファントム

夕映えに浮かび上がる「この色」こそが自分が求めていたブリテッシュファントムの色なんです。

当研究室助手のファーストタミヤキットが小学3年製の時に親戚のおじさんに買ってもらった1/100ミラージュとイリューシンだということは何度か書いてきました。これをきっかけにまずタミヤ1/100ミニジェットに熱く熱く入れ込みます。しかし所詮小学生のやることですし、富山の雪深い田舎にはシリーズが全部揃って売っているお店は、当時の小学生の行動範囲にはありませんでした。

駄菓子屋さんや文房具屋さんでいくつか見かけては「欲しい」「欲しい」と思い続けるわけです。ごくまれにB-52Fのような夢の様な出来事もありましたが、結局最後まで揃えることは出来ませんでした。(これが◯十年後にオトナ買いに繋がるのです)。その買えなかったキットの一つが、このブリテッシュファントムでした。当時、お店に売っているのを見た記憶がありません。上田信画伯の描く夕映えに光るブリテッシュファントムの紺色の機体のボックスアートが特に印象的でした。

ある日、となり町の親戚のおじさんの家から歩いて帰る(1時間以上かかったと思います)途中の道端で、そのとなり町の見知らぬ歳上の少年と初めて出会って「一緒に遊ぼう」と友だちになりました。田舎ではままあったことです。それでその子の家まで遊びに行ったら、なんと!縁側にブリテッシュファントムの空箱が置いてあったのです!もう作った後だったのですが、異常に興味を示す(笑)私に対して「箱だけでいいならあげるよ」と初対面にもかかわらずもらってしまったのです。嬉しくて嬉しくて、帰宅したら早速集めてあった空箱のコレクションに組み入れました。

その後、高校生になる頃に全てのミニジェットを揃えようと頑張ったのですが、このブリテッシュファントムのみが全く再販されず、私にとっても正真正銘の幻のキットになってしまいました。初めて手に入れたのは大学生となって東京に出てきてからです。その後、バージョン違いで複数個揃っていくのですが、もったい無くて作れませんでした。絶版キットとしてのブリテッシュファントムの考察はこちらをご覧ください。

そこに降って湧いたのが「池袋東武タミヤモデラーズギャラリー2013」でした。この中で、私も所属する石坂浩二さん取材の模型サークル「ろうがんず」が毎年テーマ建てて展示をさせてもらっているのですが、この年のテーマが、私の強い希望が通って「1/100ミニジェット“愛”コンプリート」展となったのです。ほとんどが絶版キットになってしまっていますが(10種類はコンバットプレーンシリーズとして入手可能)、富山ブラックホールからコンプリート1セットをろうがんず事務所に送りました。正直、思い入れのあるイリューシンなどはバージョン違いも含めると10機以上所有しており一生作り切ることが無いのは明白なので、こういった機会はまさに天からの授かりものです。メンバーが揃ったところで担当キット決めを行いました。まずは各自で希望キットを言ってもらい基本的に第一希望で決定、都合により来られなかった方やなんでもいいですよ〜という方には、強制的に割り当てられます。皆さんが意外に?敬遠したのがB-52Fです。とんでもないお宝キットなので責任重大なのと、その大きさですよね。最終的にはプロの原型師でもあるオーロラモデルの津田さんが担当してくださいました。ミニジェットの魅力は同じ機体でも複数のマーキングがあることですので、余裕のある方はマーキングを変えてどんどん作ってもらいます。全28種類のシリーズですが最終的には40機以上が揃いました。まさに「コンプリート展」です。私はテーマ責任者でもあったので役得でこのブリテッシュファントムとB-52Dシルバーフィニッシュの担当になりました。

塗装して完成させるわけですので、初版のブルー成型色はさすがに使えず2版目の仕様になりました。40年の思いが目の前にあります。全28種類でキットは全てコレクションで揃えていますが、実は未だに作ったことがないのが5機ほどありました。その中の2機を作ったことになります(実際にはB-52Dを2機同時に作ったので合計3機)。

石坂会長からは「改造するとしても1日程度で終わる範囲」という厳しいレギュレーションが与えられています。もとより私としてもオリジナルを崩すつもりなど毛頭ありません。ちょっとしたアクセントとしてエアーインテークカバーを自作した程度にとどめ、デカールも赤と黄色の細切りラインデカールを少々使った程度です。

メンバー全員の進捗状況を伝え合うことを主眼に、製作途中画像をメールで交換し、私がまとめてWebサイトにUPしていきました。「お!相変わらず◯◯さんは早いなあ〜」「凄い!そこまでこだわって下準備ですか!」「え??まさかの筆塗り!!」「おお!遂に石坂会長の登場だ!」「まさかあの塗装にそんなヒミツが!」「そんな恵まれた環境の工作台を使っているんですか!」「米国会員はもう完成して発送済みですよ」「相変わらず□□さんは途中画像を一切送ってこないよな〜」大変盛り上がりました。模型サークルに入っている方、是非オススメしますよ。

最終的に池袋東武百貨店のタミヤモデラーズギャラリー2013で展示されたのはもちろん、2013年12月に横浜人形の家で開催された「石坂浩二と仲間たち*ろうがんず展」では1/100フィギュアを来場した方に塗ってもらい自由に配置するという展示をして大好評でした。模型は作ってこその楽しさですよね。


ちなみに今回のUPに合わせて、昨年7月の時点で14枚まで公開して未完成だった「ミニジェット雑誌広告一覧」を一気に完成させました。全36枚!!(超タイヘンでした〜)ミニジェットに関する一級品の資料となるはずです。是非ご覧ください!

(2014/04/06)


しりもちをつかないように機首におもりを入れます。
40年以上前のキットなので光パテなどで修正します。
前輪の形がソロバンの玉形だったのでリューターにかけて削りました。
いい感じで追い込みに入っていたら、トラブル発生!!!
ガッチリ接着した後にキャノピー内にプラスチックの削りカスが入ってしまいました(涙)。
どうやって取り除くの・・・・・・・
21世紀はこんな文明の利器があるのです!
ホントに焦りましたが、この道具でなんとか取り出すことが出来ました!
何度も色味合わせをして、この色に決定しました。
アメリカ海軍機色ネイビーブルーベースで調合しました。
翌面の黄色と赤のデカールだけはオリジナルではなくラインデカールです。
その他はオリジナルデカールが使えました!ミサイルは丁寧なマスキング処理です。
エアインテークカバーを作って赤に塗る。これを子供の頃からやりたかったのです。
そしてキャノピー前方内側のみクリアーグリーンに塗るのもアクセント。
池袋東武のタミヤモデラーズギャラリーにて。
ミラーの上に展示したので機体下面もよく写ります!
横浜人形の家の展示では1/100フィギュアを来場者に自由に塗ってもらい
飛行機の周りに置いてもらいました。
横浜人形の家での「1/100ミニジェット“愛”コンプリート」展の全貌です!