タミヤB1bisをお手軽リモコンに
(アーマーモデリングVol.81企画より)


「ズルイ!」・・・世界一(?)早いリモコン作例です


教わろう!達人のB1bis可動改造技術!!
タカダさん ほんださん いまいまさん


久々の更新は“歴史研究”どころかウルトラ新製品のレビューです。しかも製作したのが世の中での発売前という特権お大臣モデリング・・・あまつさえ静岡ホビーショーの合同展で発表というゴーマン勘違い系(?)の暴挙に出てしまいました。

タミヤから2006年6月10日(土)に発売になった1/35ミリタリーミニチュアシリーズNo.282「フランス戦車 B1 bis」。既に手になさった方もいるかと思います。いいキットですね〜。作っていてストレスが無く、とても楽しく組める。そして今まで全く見たことも無い戦車が1/35スケールで組みあがる様はホントに興奮します。

このキット、当研究室助手がアーマーモデリングライターの端っこにいたおかげで、縁あって一足早く入手してしまいました。静岡ホビーショーまでおよそ1週間。箱を開けた瞬間「こ、これはリモコンにするしかない!」と発作的に編集部と連絡を取り合い、6月13日発売号での企画が成立、すぐに作り始めました。


素人のワタシにとってディスプレイキットをリモコン化するには強い味方の「D-FORCEの戦車用ギアBOXセット」。もちろん現在も通販で入手可能です。合わせてみると、まさにギリギリぴったり入ることが判明しました。

このギアBOXのシャフトにスプロケットホイルを差し込むには色々なやり方がありますが、今回はギアBOXセットに付属の白色プラ製六角ナットを使うことにしました。この白色プラ製六角ナットは旧タミヤ1/35リモコン戦車の金属ギアボックスのスプロケットホイルシャフト先端についていた金属六角ナットと同じ口径で、現在のタミヤ製キットのスプロケットホイルにもこの彫刻が残っているものがあることから、このD-FORCE戦車用ギアBOXセットにも付属しているのです。

これにより同じ口径の金属六角ナットをライターであぶり、プラ製のスプロケットホイルの中心部にあてればピッタリのアナが開くはずなのですが、この六角ナットは一般に売られているM3では小さくM4では大きいという厄介な大きさであることがわかりました。地元の金物屋さんで相談すると「これならどう?」と1個だけ出てきたM3.5の六角ナットがまさにピッタリでした。古いタミヤ金属ギアボックスを持っている人は、その六角ナット先端をあぶってもいいコトになりますが、あまりオススメしません。

もともとは動かすことを前提に設計されていないこのキットですが、ロードホイルもアイドラーホイルも回転します(アイドラーホイルは念のため中に入れる指定のポリキャップは使いませんでした)。小さなロードホイルは完成後の塗装が難しいと思い、ランナーに付いた状態で塗装を済ませましたが、結果的に全く見えなくなることがわかり、塗装は不要でした。

このB1bisキットの大きな特徴である連結式キャタピラは“見事”の一言。1トラック1パーツで、ランナーから外され、袋詰め状態で入っています。小さなバリがあるとしても表面部分の真ん中ですので、平ヤスリを1回シュツとかければ終了。パチンパチンと指ではめていけば片側5分もかからず完成します。「カステンのキャタにピンバイスでアナを開けて真鍮線を1本1本通して初めて出来る」という可動連結キャタピラのこれまでの常識が崩れ去りました。もちろん耐久性を考えればこのタミヤのキャタピラにもピンバイスで穴を開けて真鍮線を通した方が良いでしょう。

とりあえず準備が出来ました。実際にキャタピラをはめて動かしてみましょう。繰り返しになりますが、ディスプレイ専用で設計されたキットですので、実際に回転させるとスプロケットホイルの噛み合わせが問題になります。合わせてみると吸い込まれるほどピタリと合うのが逆に気になります。またスプロケットホイルとアイドラーホイルの水平高さ以上にキャタピラが回るのですが、その部分にはW号戦車のように補助ローラーが無いのでミニ四駆のローラーなどを入れ込まないといけません。

えい!とスイッチを入れると唖然としてしまいました。どこも直すところが無くシャラシャラと軽快な音でキャタピラが回っているではありませんか。逆に回転数が現用戦車なみに速すぎるのがわかりました。次回もう1つ作るときは、もう1枚ギアをかませる方が良さそうです。

こうなれば話はカンタン。あとはスイスイと組みあがります。デカールはA〜Dパタンの4種類用意されているのですが、タミヤのHPでは既にA、B2パタンの作例が公開されており、DパタンもBに良く似ています。そこで一番人気のなさそうな地味な塗装のCパタンに決定!ハートのマークもオシャレです。タミヤ初のフランス戦車兵フィギュアも見習い中のマルケン塗りで仕上げました。


素人のワタシにとってはこれが無いと始まらない
D-FORCE戦車用ギアボックスセット
3.5Mの六角ナットを、ライターであぶってジュ〜ッ!
これで付属の白色プラ製六角ナットがピッタリ
車体上部後端のスプロケットホイルシャフトの位置をマーク
これを元にギアボックスの位置決め
位置さえ決まればビス1本で固定できる
車体下部のシャフト位置マーキングにも注意
ロードシャフトは滑りを良くする為、2B鉛筆でこする
左側の突起部分を削ればサス上下になるが
上下幅やバネの機構を考えると今回は断念
アイドラーホイルはポリキャップをはめず、鉛筆でこする。
ちなみにこれは失敗画像。この後強引に・・・
サイドスカートを取り付ける前にロードホイルはつけましょう
3mmの角棒をこの位置に接着すれば
ギアBOXのシーソー部分が降りてほぼピッタリに
車体上部後端にあったスプロケットホイルシャフトまわりは
画像のように切り落とす
キャタピラを両面テープで並べてエアブラシ塗装
エッジをリューターで削ると、さらにリアルになった
裏面に対して表面のサビ表現を変えたい為
並べ向きを90度変えてオレンジ色のエアブラシ
タミヤウエザリングマスターCセットで仕上げ パチパチとはめ込めば、あっという間にこんな感じ
とりあえずテスト走行・・・唖然!
何一つ修正するところはありませんでした!
車体自体は、ホントに気持ち良く組みあがります
後部にコネクタも設置
単色塗装も捨てがたい・・・次回はコレにしよう! タミヤの完成作例に無かったCパタンの塗装を選択
タミヤ初のフランス戦車兵。マルケン塗りアクリル段階 エナメル塗料で仕上げる。まだまだ修行が必要です


完成です!連結キャタピラがとってもリアル
パステルで汚し仕上げ。リベットも浮き出ていい感じ。
コネクタはキット付属のチェーンで目立たなく(ホント?)なる。

目標があるということは実に素晴らしいことで、奇跡的に期日内に完成し、静岡ホビーショーに持ち込んだのです。念のためタミヤサイドに「これこれこういった雑誌の企画でこんなのが出来たのですが、合同展に展示してもいいものでしょうか?」と聞いてみると、「既に会場発表になってますからいいですよ(^_^;)」との暖かい(?)返事。そこで所属する「可動戦車模型愛好会」のブースにこそっと展示させていただきました。

他でもない、まずメンバーから「ずる〜い、ずる〜い」の連呼でした。

タミヤのB1bisのパッケージなどを傍に置いておけば目をひいたとは思うのですが、さすがにそれは自粛。周りに展示してあるのはRCメカがギッシリと詰まり、それをオープン展示してある力作ばかりですので、全然目立ちませんでした(^_^;)。たまにココロある方が見つけると、決まって「え!?これタミヤのB1?なんでここにあるの!?ずる〜い!」となり、事情を知らない子供たちには「気軽に触って楽しめるリモコン戦車」ということで大人気でした。

(2006/06/11)


静岡ホビーショー合同展、「可動戦車模型愛好会」ひのき隊長自作の見事なベースにて
街灯にもLEDが埋め込まれ、入場者の注目を集めたベースにて撮影
街灯や樹木ナメの低い位置からの画像は、かなりいい感じ
ドイツ軍偵察機シュトリヒより・・・なんてね
子供たちには大人気!みんな一心不乱です
一方、ココロある大人の皆さんは「え!?これ、タミヤのB1?ズルイ!!」と一言(^_^;)



おかげさまで、この更新に関してはとても反響が良く、お問い合わせも私信でいくつか受けました(^_^)。その中で「キャタピラのエッジをリューターで削った様子を教えて」というご意見が複数ありましたのでご紹介します。

実車のキャタピラ現物は、ペラペラの鉄板をプレスしたものをチェーンブロック状の基部に多数のビスで留めてあるもので、これを驚異のワンパーツ再現するためには様々な葛藤があったことが容易に予想されます。おそらく私が知る限りですが、インジェクションのワンパーツはめ込み式でモーター走行に耐える連結キャタピラは、このタミヤB1bisのキャタピラが世界初だと思います。もちろんモーター走行に耐えることになったのは副産物で(事実、静岡に持ち込んだ時にタミヤの設計開発担当の方にお会いしたのですが、実際にリモコンボックスレバーを操作して「ホントに走る!」と驚いていらっしゃいました)、あくまでも確実な組みやすさを主眼にした結果ですが・・・。

確実に樹脂が金型の隅まで回る事を検討した結果(想像ですが、ロット数やコスト、欠陥品の無さの検討が大幅になされたはずです)、最終的に製品化されたパーツはキャタピラエッジがやや厚めの物になりました。非の打ち所の無い今回のタミヤB1bisですが、数少ない今後の要望はここにあるのではないでしょうか?ここで鬼の首を取ったかのように意見を言う方もきっといるでしょうが、根っからのタミヤ信者(?)であるワタシとしては、「ああ、やっと個性を出せる部分が見つかった」といった感じに受け止めました。

作業はカンタンです。でも根気がいります(^_^)。カッターナイフだけでも出来ないことは無いのですが、リューターがあれば作業時間が飛躍的に短縮できます。リューターもかつては大変高価なものでしたが、タミヤからも比較的安価なものが出ていますし、2、000円前後で入手できるもので十分です。何をするかは画像の通り、こんな感じかなとリューターで削って、毛羽立ちをデザインナイフで削り落とす、この繰り返しです。キャタピラ両側全体で5時間ほどかかりました。慣れないと、リューターのビットが手元で踊ってしまい、裏側にガガガッ!と行ってしまう事が多々あるのですが、「まあ実車のダメージ」程度のおおらかな気持ちで進めました。

ちなみに、こうしたやり方を公開すると「タミヤのB1は最低限これをまずしなくてはならない」などといった強迫観念に駆られる方が必ず出てくるのですが、あくまでも作例の一つです、おおらかに楽しみましょうね。

(2006/06/16)

リューターで削ってこんなカンジにしたい・・・。 実際、リューターだけではこれだけ毛羽立ちます。
デザインナイフでカリカリ表面をなでて
毛羽立ちを削り取ります。
横から見るとこんな感じ。予備キャタピラも含め
全コマ130枚作業すると5時間ほどかかりました。
実はかなり粗い作業もしてます(^_^;) でもこんな感じになるからいいでしょ。おおらかに(^^♪